知らず知らずの間に友人にウイルスを?

コンピューターウイルスの中には「自己を増殖」させようとする機能を持つものもあります。その振る舞いはまさに「ウイルス」そのもので、新しい寄生先を次々と見つけ、自己のコピーを寄生させるのです。そして、新しく寄生したウイルスは全く同様の働きを行うため、爆発的に増殖することになります。コンピューターウイルスは、自然界のウイルスや細菌とは違って「遺伝情報」が欠損したり変異を起こしたりはしません。まさに「コピー」が増殖を続けます。「変異」することがあるとすれば、それは「誰か」がそのブログラムに改良を加えたときになります。コンピューターウイルスが「○○ウイルスの亜種」と呼ばれることがあるのは、「誰かがそれをもとに改良した」ということになります。

コンピューターウイルスがどのようにして自己を増やすのかというと、それは寄生先の端末に「接触する」タイミングを待つほかありません。自然界のウイルスでは空気中に漂い、吸引されることで感染するようなものもありますが、コンピューターウイルスはそのように「回線」上に漂うことは出来ません。自らネットワーク上を移動することは、ウイルス単体では不可能なのです。プログラムは「ハード」と共にあってこそ機能を発揮することができます。そのプログラムの「挙動」自体は、それを実行している端末の「挙動」なのです。ですから、ウイルス単体で何かの端末に進入するといったことは不可能です。その動作を実行する端末がなければ、ウイルスはなんのいみもありません。ただの「データ」なのです。

ですが、ウイルスに汚染された端末は、そのウイルスの指示通りの挙動を示すことがあります。画面の乱れやフリーズなどもそのうちなのですが、中にはその端末に保存されている「メール」の宛先を読みとって自分自身のコピーをメールに添付して送ってしまうようなウイルスもいます。そのようにして自己を他の端末にコピーしていくのです。ウイルスに感染したパソコンが示す異常な挙動は、そのウイルスによって仕組まれたものです。そのように端末を「操る」、「影響を及ぼす」ということがそのウイルスの本質であり、「ウイルス」である理由です。

パソコンなどの情報端末は一般には理解できないような複雑な機構を有しています。分解すればそれは内部機構として目に見えるのですが、実際に端末が処理しているようなことはなかなか私たち利用者の目には見えません。さまざまな演算を繰り返しているのが情報端末です。ウイルスはその流れを変えてしまうのです。その結果、動作として意図しない挙動を示し、知らない間に自分のパソコンが友人たちにウイルスを添付したメールを送信している可能性があるのです。パソコンなどの端末は「資産」といってもいいものですから、知らず知らずの間に他の人の資産を害していることになるのです。

知っている人からのメールに添付されたファイルであれば、受け取った側は信用してしまうのではないでしょうか。そしてまた同じことが繰り返され、ウイルスは増殖していきます。この様子が、まさに「ウイルス」に酷似しているため、コンピューターウイルスと呼ばれるようになっているのです。くれぐれも、友人から届いたメールでも、添付ファイルが怪しいと感じたら開かないようにしましょう。

 

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