コンピューターウイルスの機能にもさまざまなタイプがあるのですが、そのコンピューターの利用者が「調子が悪い」と認識するような症状を示すウイルスに感染することは「パソコン本体の被害」という観点でとても深刻なものです。そのようなシステム的にエラーを起こさせたり、特定のフログラムが起動できなくなるなどの症状であれば、そのウイルスを隔離・消去すれば症状は終息します。
その後は何事もなくその端末を使い続けることができるでしょう。ですが、パソコンの処理速度が圧迫されるほどの負荷を与え続けるようなウイルスに感染してしまうと、パソコン自体が「物理的に」故障してしまうということも考えられるのです。そうなるとウイルスを駆除したあともパソコンの機能は低下したままかもしれません。
パソコンは主に「ハードディスク」という記憶媒体と、「CPU」という思考するうえでの心臓部、そして「メモリ」という一時保存領域でそのスペックを測ります。パソコンを購入する際には主にこの三点を意識することになります。ハードディスクは言葉としても馴染みがあるかもしれません。どのようなデータも必ずハードディスクに保存されます。必要な時にはそれを参照するのです。
それでは、「CPU」と「メモリ」はなにかというと、例えるならばCPUは「仕事をする人」、メモリは「その人の机の広さ」というものに相当します。机が広い方がいろいろな資料が置けます。仕事もしやすいのではないでしょうか。机が狭いと、つまりメモリが小さいといちいち資料を書庫(ハードディスク)にしまいにいったりしなければいけないのです。
コンピューターウイルス自体の「データ容量」は大したものではありません。インターネット回線に乗ってすばやく端末に侵入するものですから、むしろプログラムとしての容量は軽いものばかりです。ですからパソコンのハードディスクが埋め尽くされるということはありません。ウイルスによる端末への被害はそのウイルスがコンピューターに存在しているリソースに干渉することで発生します。例えば、「その端末内に保存されているデータをハードディスクの容量が一杯になるまでコピーし続ける」という機能があるとすると、ユーザーの知らない間にハードディスクがいっぱいになってしまうということになります。また、メモリに擬似的な情報を送り込み、演算能力を低下させるということも可能かもしれません。
問題は、それらの負荷がかかる動作時にはそれらのパーツは「発熱」するということです。そして、「熱」は電子機器の故障の原因として一番多いものです。ウイルスによって起動時、常時そのような状態にされてしまっては、物理的な破壊までもたらされてしまうことになります。電子プログラムが現実の「モノ」を破壊してしまうのです。コンピューター内の各演算は、すべて物理的に存在しているハードウェアに依存するものですから、ウイルスによるそのような「負荷」は、端末自体にもダメージを及ぼすことになるのです。そのようなウイルスに感染してしまうと、もはや「駆除」だけではどうしようもない、ということになるかもしれません。コンピューターウイルスがパソコンを文字どおり「破壊」してしまうのです。
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